猛禽類とは分類学上の括りではなく、「猛」は恐ろしい・猛々しいの意、「禽」は鳥の意、グループの総称です。おそらく他の鳥や動物を掴えて食べる中・大型種を呼んでいたのでしょうが、分類学上の定義と絡んで今では昆虫食・魚食の種を含むワシタカ目、フクロウ目の全種を猛禽類と呼んでいます。ワシタカとフクロウはあまり近縁ではありませんし、コンドル・ハゲワシ類等は大型サギ・コウノトリの類と近縁とも言われていますので分類学上と言うよりイメージによる総称です。
また、そのイメージにおいても猛禽類は決して恐ろしい鳥達ではなく、神経質でデリケートな鳥達ばかりなのも今では多くの人に知られています。

このような鳥達を飼育するには飼い主となられるあなたの覚悟と努力が必要となります。しかし、長年培われた日本の放鷹術(鷹狩りの技術)・西洋の鷹狩りの技術を情報として得られる現在では多くの人に飼育していただける機会が増えたとも言えます。当店では初心者から上級者まで多くの方に満足いただけるアドバイスを行うことで猛禽の飼育を理解して頂けるよう努力していきたいと思います。

分類
  ワシタカ目 ワシタカ科(ミサゴ亜科を含む)、コンドル科、ハゲワシ科とハヤブサ科に分けられます。
  フクロウ目

メンフクロウ科とフクロウ科に分けられます。

ここでは飼育例の多いワシタカ(ワシタカ科、コンドル科、ハゲワシ科を含む)・ハヤブサ・フクロウ(メンフクロウ科を含む)の3グループを中心に解説していきます。


ワシタカの仲間・・・ 種別紹介はこちらへ
オオタカ(ハイタカ属)・ハリスホーク(ノスリ属とその近縁)を含む日本の鷹狩りでは一番多く飼育されているグループ。
オオタカ等のハイタカ属の鳥達をショートウイングと呼び、拳・撞木(しゅもく・海外でいうところのTパーチ、特にハイタカ等)から獲物へ直接スタートさせ掴える狩りをします。美しい容姿、獲物への反応の速さ、獲物への執着心、林を抜けるときのスピード等が非常に魅力的なグループではありますが、神経質な性格ゆえに飼育・調教ともに難しく、初心者には到底オススメできないグループでもあります。
ハリスホークを中心としたノスリの仲間はブロードウイングと呼びます。おおらかで馴れやすく、飼育も調教もしやすい初心者向けのグループと言えます。帆翔から急降下させる狩り(これはかなりダイナミック)や非常に長い柄のTパーチ(日本での撞木)の上からスタートさせる狩りが海外では行われています。日本のフィールドではハリスホークを拳からスタートさせる、いわゆるオオタカと同じような狩りでも成果を上げています。大きさも中型で存在感があり、据えていて「おっちゃん、その鳥はハト?」と言われることもなく大抵の人がタカもしくはワシと認識してくれます。
この仲間はフンを後方に飛ばしますので(調子良いと・・・ウエイトが高いと・・・なおさら遠くに)、室内での飼育には相当な工夫と覚悟が必要です。

ハヤブサの仲間・・・ 種別紹介はこちらへ
小型種ではチョウゲンボウ、チゴハヤブサ、中・大型種ではハヤブサ(ペルグリン)、シロハヤブサを含むロングウイングと呼ばれるグループ。馴れやすく、精悍さとかわいさを併せ持つ容姿から非常に人気は高いのですが調教は難しくロスト(なくす)しやすい一面が有ります。発信機・受信機の使用は不可欠で、絶対条件(義務にして欲しいなぁ〜)とすべきマナーです。特にハヤブサにおいては、ウエイトオン(100m以上の上空に糸でつるしたように翼の先端だけで位置の修正をしながらとどまるように飛ぶ状態)から急降下するさまは非常に迫力がありあこがれる姿では有ります。正直なところ、海外とはかなり差があいていました。しかし、最近では上手く飛ばせる人も少しづつ出てきました。
フンを下に落とす習性から「室内での飼育に・・・」に向くと言うのも人気の一面です。小型種はペットとしての室内飼育に非常に向いています。しかし、中・大型種では換羽期のことを考えると室内での飼育は掃除が苦手な人には難しいと言えます。

フクロウの仲間・・・ 種別紹介はこちらへ
メンフクロウ科を含むフクロウ目全体。非常に愛らしく、馴れるイメージがあるため人気で、最近ではポピュラーな種はホームセンター等でも販売されています。しかし、やはり馴れていない個体を馴らすには、それなりの技術が必要な為、「馴れないから手放したい」等の問題も多くい起きています。
小・中型種のインプリント個体(ヒューマンインプリント・ハンドレアードと呼ばれるヒナから特別に育てられた個体)は飼いやすく、止まり木(定位置)が決まるとフンも下に落とす習性から室内飼育ではゲージ飼育・放し飼い、半室内飼育として窓の外がゲージ、窓越しに行き来出来るようにする等の工夫でいろんな飼育方法が可能です。やはり大型種では換羽期のことを考えると室内での飼育は掃除が苦手な人には難しいと言えます。

 
全般的に・・・
小型種は管理が細かくなり調教という面では難しくなりますが、スペース等の制約がある場合や室内での飼育、ペットとしての飼育には向くものが多いといえます。逆に野外でのゲージ飼育では温度管理(例え、寒さに強いはずのコチョウゲンボウであっても)が難しいため飼育困難です。
中型種(特に温度管理が必要な種以外は)はある程度の覚悟があれば室内飼育・野外でのゲージ飼育が可能です。調教においても耐久力がある中型種は扱いやすいと言えます。
大型ハヤブサ・フクロウ類は飼育施設が完備されれば、飼育には向く種が多いといえます。しかし、大型種ワシタカ類は、例え法的に許される場合においても初心者が飼育すべきものではありません。

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