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Q1. |
猛禽類(ワシ・タカ・ハヤブサ・フクロウ等)は飼育しても良いの?
猛禽類の飼育には許可が必要ですか? |
A1. |
猛禽類に限らず日本の野鳥は鳥獣保護法・国内希少野生動植物種(日本産亜種が限定で指定されていますが、ワシミミズクはなぜか?種の指定になっています)の保存法等により保護されています。海外からの輸入鳥に関してもCITES(通称:ワシントン条約)において規制されています。しかし、規制であって禁止ではありません。ですから、輸出国にて適正に捕獲された個体・適正に捕獲された個体から繁殖された個体は輸出入・購入・飼育が可能なのです。
CITESには野生個体の保護を目的とするための保護の部分と増えすぎた生物資源の有効利用という2つの目的があります。ですから、飼育下で繁殖されたもの、各国の制限において野生の個体群に影響のない範囲である場合等は輸出入が可能ですので、そういった個体が販売されるのです。また、日本では欧米諸国より厳しい手続きを踏んで輸出入がされています(矛盾することもありますが・・・)。
CITEST類の鳥に関してはCITES事務所に登録された承認ブリーダーの元、飼育下繁殖された個体のみが取引の対象として許可されます。この場合、日本政府の委託を受けた自然環境研究センターが発行する国際希少野生動物の登録票が鳥と同時に取引されなければならず、受託者が届出をする必要があります。
国内希少野生動植物種として指定されている種および亜種は、海外からの輸入であっても、輸入および飼育はできるが(自分でまたはどなたかに委任して輸入し、飼育することは出来ます)、譲渡を含む販売等の取引が禁止されているというおかしな法律になっています。それ以外の輸入された猛禽類を購入することも飼育することも違法行為に当たりません。CITES
U類の種は、飼育に関しては公的な許可・証明書は存在しません。また、輸入された鳥は日本の鳥とは違いますので上記の鳥獣保護法には抵触しません。
但し、日本に生息する種と同一の種に関しては便宜上証明書(日本鳥獣商組合連合会等の輸入証明書、CITES事前確認・輸出許可証の写し、個人またはショップ・団体の繁殖証明・販売証明等)が付いているのが普通です。
よく「飼育・販売の禁止されているオオタカ・・・」と報道されることがありますが、これは間違いです。禁止されているのは日本産のオオタカの亜種「オオタカ」(Accipiter
gentilis fujiyamae)であって輸入されたもの、例えばロシア産の亜種ヨーロッパオオタカ( A,
g, gentilis)、亜種シロオオタカ(A, g, albidus )等には適用されないということです。あくまで日本のオオタカ(猛禽全般、野鳥全般)を保護するための法律なのです。
※日本産のオオタカ・ハヤブサ・フクロウを含む全ての猛禽類は捕獲・飼育することは出来ません。例えば、「ヒナが落ちていて・・・かわいそうだから・・・」も、それが善意であってもそのまま飼育することはできません。
また、大型種においては、法律により特定動物(危険な動物)に指定されている種があり、飼養または保管には許可が必要です。
特定動物のリスト(猛禽関連)
コンドル科 カリフォルニアコンドル,コンドル,トキイロコンドル
ワシ・タカ科 オジロワシ,ハクトウワシ,オオワシ,ヒゲワシ,コシジロハゲワシ,マダラハゲワシ,クロハゲワシ,ミミヒダハゲワシ,ヒメオウギワシ,パプアオウギワシ,フィリピンワシ,イヌワシ,オナガイヌワシ,コシジロイヌワシ,カンムリクマタカ,ゴマバラワシ
守るべき基準
1、飼養施設の構造や規模に関する事項
・一定の基準を満たした「おり型施設」などで飼養保管する
・逸走を防止できる構造及び強度を確保する
2、飼養施設の管理方法に関する事項
・定期的な施設の点検を実施する
・第三者の接触を防止する措置をとる
・特定動物を飼養している旨の標識を掲示する
3、動物の管理方法に関する事項
・施設外飼養の禁止
・マイクロチップ等による個体識別措置をとる(鳥類は脚環でも可能)
各都道府県の「動物愛護管理法」の担当部署に問い合わせる必要があります。ただし、日本では大型種による鷹狩り(この場合鷲狩りか?)を行えるような場所は非常に限られますし、訓練そのものも、仕事を持つ一般の方が住宅地や田んぼ等で行えるものではありません。ましてや、飼い犬や飼い猫、子供さん等にケガをさせないとも限りません。よく考えていただき、許可を得られたとしても、ケージ内の飼育のみに止めるか、安全に留意した上での忍縄(おきなわ・訓練用の長いより糸・紐)付の訓練程度に止めるべきだと思います。
特定動物(危険な動物)種では禁止されているはずですが、野外(外れたときの闘争防止の為の囲いのない・・・の意)での繋ぎっぱなし(繋留)も、カッコイイかもしれませんが、絶対にやめるべきです。また、この「野外繋留」については指定されていないすべての猛禽類の種(小〜大型種)でも理由は違いますが、やるべきではありません。
※2008年6月現在(かみうちが調べた範囲です)
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Q2. |
どんなエサを与えるの?
生きた動物を与えなければいけないの?
精肉で飼育できるの?
練り餌(すり餌)での飼育できるの? |
A2. |
エサはコオロギ・ミルワーム・ウズラ・ヒヨコ・ハト・スズメ・マウス・ラット・ウサギ等を与えます。
昆虫食の種にはコオロギ・ミルワーム等の昆虫類・ヒヨコ・マウス等を中心に与えます。
鳥を中心に獲る種においては、ウズラを中心にヒヨコ・マウス・ハト等を与えます。
小動物中心の種には、マウス・ラット等を中心にヒヨコ等を混ぜて与えます。
大型種にはウサギ等を中心にウズラ・ヒヨコ等を与えます。
いずれの場合も、必ずしも生きたものでなくとも良くというより、ケージ内では殺してから与えます。また、冷凍のエサを与えることで代用できます。その場合には特に猛禽類に適した総合ビタミン剤、カルシウム剤などの栄養補助食品を添加します。
お肉屋さんで売られている精肉は、大型動物・鶏の特定部位ですので適しません。手元に良いエサが無い時に鮮度の高いものを与える程度は問題ありませんが、各種栄養補助食品を使っても精肉だけでの長期飼育はできません。
日本ではコノハズク等に練り餌(すり餌)を与える飼育方法は歴史的に古く、長期飼育&繁殖も過去には例があります。しかし、現在売られているものは原材料に何を使っているか?それらがどう影響するか?不明ですし、研究もされていません。猛禽類の飼育に関する熟練者であり、すり餌の研究をされている方が挑戦するのは新たな試み(技術の復活?)として大いに意味を持ちますが、初心者にはフクロウ用として販売されているものも含め、到底お勧めできるものではありません。 |
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Q3. |
鷹狩りはしても良いの?
鷹狩りをするのに許可が必要なの? |
A3. |
鷹狩りのタカは法定猟具(猟法)ではないので猟具として届出(狩猟者登録)をすることはできません。しかし、禁止猟具でもありませんので、狩猟期間・狩猟区域・狩猟鳥獣を守って行う場合においては、県知事の許可なく行うことができます。
この場合、各都道府県の所定の部署において、狩猟区等位置地図を入手しておきます。その時に「鷹狩りを行うのでよろしく!」と確認を兼ねて進言しておくと良いでしょう。県職員の方も再度確認してくれるはずです。また、なかなか狩猟区等位置地図を出してくれない県もあります。こういう時も引き下がらないで・・・「合法的に狩りがしたい、尊法義務を守っているのだが・・・」、部数が・・・と言われたら・・・「そちらの見込みでしょ!?」、どこの県も出すはずです。
また、狩場で警察などに声をかけられた時も上記(法定用具ではないが、禁止用具でもない)の件を話し納得してもらいましょう。調べてもらえば(環境省等に問い合わせてもらえば)理解していただけるはずです。恐れずに、話をしましょう。
銃ではありませんので、銃猟禁止区域での捕獲行為(鷹狩り)は行うことができます。
※狩猟期間・狩猟区域・狩猟鳥獣を守らないのは違法行為となります。(犯罪です)
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Q4. |
フンは飛ばしますか?
臭いですか? |
A4. |
ワシ・タカ類は後ろにフンを飛ばしますが、ハヤブサ類フクロウ類は下に落とします。
フンの臭いは湿り気を帯びているうちは臭います。しかし、乾いてしまえば臭いが少なくなります。猛禽類の飼育において臭いのきついのはむしろ放置された残りエサです。 |
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Q5. |
飼育しやすい猛禽類はどんな種類ですか?
調教し易いタカはどんな種類ですか?
ハリスホークで狩りはできますか? |
A5. |
ペットとして飼育するならチョウゲンボウ・チゴハヤブサ等の小型ハヤブサ類、アフリカオオコノハズク・スピックスコノハズク・アカアシモリフクロウ等の小・中型フクロウ類のいずれもインプリント個体をオススメします。
鳥小屋(ケージを含む)に放して観察飼育をするならば、神経質なハイタカ属以外の猛禽類ならおおむね飼育できます。当然ながら、その種の大きさや動きに合った広さが必要です。
飛ばす、もしくは狩りをしたいならハリスホークがオススメです。大型のワシ等は場所も設備も大きくなりますし、扱いに慣れが必要です。また、飛ばす場所(訓練場所)はどうするのか、「動物愛護管理法における特定動物(危険な動物)」で飛ばせない、実際に飛ばすのは危険なことも問題です。また、小さい種類(チョウゲンボウ・チゴハヤブサ)は体重管理が細かい、中・大型猛禽類やカラスを避けるため獲物を持って木に上がりやすい等の難しさがあります。その点、ハリスホークは中型であり、頭が良く馴れやすい種です。「なぜか?」というとハリスホークは家族等のグループで狩りをする唯一の種(ガラパゴスノスリ等もそうなるらしいですが、入手の可能性がありません)で、据前(訓練する人)や飼育者、その家族を認識し馴れてくれます。オオタカ等の単独生活種の場合、インプリント等で育ちなおかつ、繁殖期にペアの相手として考えてくれなければそのようにはなりません。あくまで無害なもの、都合の良い止まり木・・・程度なのです。ハリスホークは人や車にも良く慣れる為(この場合の「慣れる」は、嫌ってトンズラしにくいということ)、狩りのできる場所が幅広くなり、結果として多の獲物が獲れる事も有り得ます。オオタカの場合周りの環境に左右されやすいこと、インプリントであってもメンタル(精神面)やフィジカル(健康管理の面)でもプレス(鳥への負担)がかかりやすく、健康そうに見えても突然体調を崩す等トラブルが多いものです。 |
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Q6. |
オオタカとハリスホークはどちらが早いの? |
A6. |
ハリスホークとオオタカではオオタカのトップスピードが勝ります。しかし、これは同じように良くできた鳥同士を本気で飛び比べさせたら・・・の話で、うまく訓練できていないオオタカは遅くなります。また、本気で獲物を追っていないハリスホークは遅すぎて、それこそ「なんじゃコリャ〜ッ!!?」「ハリスなんか、飛ぶ鳥は獲れるわけない!!?」です。ですから、実際見て遅く感じた方は、「本気の追い」を見ていないということです。 |
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Q7. |
どのくらいのスペースが必要なの? |
A7. |
あまり動かない馴れた小型種で450×450×600(mm)位からのいわゆるケージまたは内張りした鳥籠での飼育が可能です。良く動く種ならば小型種または中型フクロウ類では600×600×900位のケージが必要です。
中型種(ワシタカ・ハヤブサ類)で1800×1800位ですが、理想的には2100×2100位欲しい。高さは人が立っては入れるくらいが何かと便利です。大型種ならば2700×2700位は必要です。繋ぐ場合はセルフパーチにすることで半分又は、1/4にすることも可能ですが、馴れ方やプリントの程度で狭くは出来ないようなこともあります。また、放す場合は半端に広いケージでは事故を起こすこともありますので注意が必要です。ぶつかりそうなところにはクッションを張る等の配慮が必要です。
繁殖用のケージのスペースとしては小型種で2700×2700×2100位、中型種で3000×5000×3000位、大型種で5000×7000×3600位は必要です。当然ですが、狭いケージでも繁殖しないことはないですが、ペアの間がもめた時や、巣立ち後の幼鳥の運動する為の、スペース確保が必要です。 |
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Q8. |
繋いだほうが良いの? |
A8. |
これは個体の状態によります。室内でのペットとしてのフクロウ類の飼育なら、理想的には繋がないで飼育したいところ。しかし、インプリントの状態によっては、繋ぐほうが良い場合もあります。
タカ・ハヤブサ類の大半は、訓練中やインプリントの鳥なら繋いだ方が良いでしょう。また、網掛(野において網で捕らえた個体の意)、CBでもペアレントレアードのタカ類は、訓練期以外には放す方が良い場合もあります。特にオオタカの網掛は放さないと塒「トヤ」(換羽)しない場合もあります。この場合の「放す」は観察飼育に切り替えるということになりますので、放してコミュニケーションをとると言うことではありません。 |
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Q9. |
アパートやマンションで飼えますか?
近所迷惑になりますか?
鳴声はうるさいですか? |
A9. |
これは微妙です。御近所との関係が上手くいっていれば、結構許されることでも仲が悪いとダメだったり、動物嫌いの人は飼っているというだけで嫌がられることもあります。しかし、アパート・マンション等で飼われている方は結構いらっしゃいます。お客さんの中には、家族に気づかれずに半年近く、ハリスホーク他合計5羽の猛禽を自宅に置いていたなんてツワモノも・・・・
臭いに関しては掃除を毎日、またはたびたび行い上手くこなしている方は結構いらっしゃいます。掃除の苦手な方は辛いかもしれません。
鳴声に関しては、小型フクロウ等は低音でなんとなく情緒があり気になりにくいものだと思います。しかし、餌鳴きのひどくなったオオタカやハヤブサはとてもうるさく耐えられません。また、幾ら小さい鳴声でも敏感な人にとっては、うるさく感じるかもしれません。例えば、ニワトリ等の鳴声にしても「情緒があってヨロシイ!!」という人と、「朝からやかましくてかなわん!!」という人が出るくらいです。また、発情期には鳴声が変わり大きくなることがあります。発情するコンディションになればの話ですが・・・・ |
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Q10.
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暑さ、寒さは平気? |
A10.
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種によりますが、大別して昆虫食系の小・中型種、南方系の種は寒さに弱く、北方系の種は暑さに弱いものです。寒さに弱い種は10〜20℃位を保ちましょう。暑さに弱い種は25℃以下にはしたいものです。強いと言われる種でも人間が辛いような状況(35℃まで)では、耐えられないでしょう。風通しを良くすることや水浴びをできるようにすること等は非常に大切です。
エアコンによる病気(アスペルギルス等)の蔓延も考えられるので注意が必要です。
寒さに弱い種の例・・・・ |
コノハズク類・小型のハイタカ属・チゴハヤブサ・ニシアカアシチョウゲンボウ等は弱いでしょう。また、ハリスホークも−5℃以下では凍傷になりやすいと言われています。
小型種は寒さに強いコチョウゲンボウ等でも、冬には室内で飼育すべきでしょう。 |
暑さに弱い種の例・・・・ |
シロフクロウ・オナガフクロウ・トラフズク・シロハヤブサ等が弱いと言われています。風通しや水浴びが出来るか等の条件によっても違いが出ます。 |
当然ながら、鳥の状態にも寄ります。体調の悪い鳥は暖めたりするものなので、個体の
調子や今までの飼育暦などを考えて調整しましょう。 |
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Q11. |
寿命はどのくらいですか? |
A11. |
猛禽類は飼育することにより、野外生活している個体よりも長生きする傾向にあります。コノハズク等の小型フクロウ類で15〜20年、オオタカで20〜25年、ワシミミズクで30〜50年、イヌワシ等では50年以上と言われています。
当店のお客さんの飼育しているオオタカ(中国産)は24年近くたっても繁殖しています。(このペアが初めての繁殖が2年前なので20歳を過ぎてからと言うことになります)
ただし、現在までに飼育されている猛禽類のほとんどは、飼育者の不注意・飼育施設の不備等を原因としたケガ・病気等により寿命を全うしないうちに死んでいます。
今後は伝統的な猛禽類の飼育・訓練法である放鷹術(日本・海外を問わず)が取り入れられてきていますし、科学的な技術導入も行われてきていますので長生きさせられる人が大幅に増えるでしょう。また、一般の飼育者でも繁殖させられる人が出てくると思われます。 |
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Q12. |
繁殖は難しいの? |
A12. |
猛禽類の飼育下での繁殖は近年海外では急速(ここ20年位)に行われてきました。保護施設等でも、鷹匠の技術を導入することにより、繁殖が成功するようになりました。つまり、技術としての確立がされてきています。これは「たくさん飼っていたら、ペアが出来て・・・」とか、「2羽入れていたらかってに産んで・・・」ではなく、狙って繁殖させる・人工授精で繁殖させる・・・が出来るようになってきているということです。まだまだ日本では偶然に・・・が多く、「狙って」は少ないように思いますが、少しずつ増えていくことでしょう。
繁殖の簡単な種類はチョウゲンボウ・ラナーハヤブサ等のハヤブサ類、中・大型フクロウ類、ハリスホーク等のノスリ類、スペースは必要ですがワシ類等は繁殖しやすいと言われています。これらは基本的に哺乳類・鳥類食の馴れやすく、飼育しやすい種と概ね重なります。昆虫食の種は基本的に繁殖しにくいと言われます。 |
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Q13. |
繁殖は何歳くらいから出来るの? |
A13. |
飼育下でのオオタカやハヤブサの発情はオスが2〜3歳くらいから、メスが1歳から始まります。これは、訓練によって人からのプレスを拾わなくなった鳥・拾わない鳥の話です。また、人がプレスを与えない環境での飼育で同じです。プレスを拾っている鳥は発情しにくいでしょう。ですから、ペアレントレアードのオオタカは4年以上かかることも有ります。プレスを受けにくい種類(繁殖しやすい種と同じです)・鳥(馴れてる鳥・プリントの鳥は早く)ほど早く発情します。発情にも強弱があり発情しても、受精・産卵にいたらないケースも多々有ります。 |
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Q14. |
WCとCBの違いって?
巣鷹と網掛の違いは?
インプリントって?
ハンドレアード・ペアレントレアードって? |
A14. |
猛禽類の入手ソースには、WC(ワイルド コートの略)で「野生の個体を捕ってきたもの」とCB(キャプティブ ブリードの略)であり「飼育下で繁殖したもの」があります。これはルートであって「CBだから馴れている・良く馴れる」「WCは馴れていない・馴れない」ということはありません。
捕獲方法(CBの場合は親からいつ離すかですが・・・)、巣から捕る方法と飛ぶことのできる若鳥・親鳥を捕まえる方法があります。
伝統的な放鷹術では巣から獲れたものを「巣鷹・すたか」と呼びます。よく馴れるが振る舞いが悪い・狩りが下手と言われています。エサと飼育者・訓練者とを結び付けやすいから、馴れやすいが狩りを経験していないので下手ということです。
これに対して飛んでいるもの捕まえたものを「網掛・あがけ」と言います。馴れ難いが振る舞いが良い・狩りがうまいと言われています。当然ながら、親鳥を見て育ちますので鷹としての自覚があり、捕獲されるまで狩りを経験していれば飛行技術も狩りの技術も上手くなっていると言うことです。また、巣立ち直後のものを「巣回り・すまわり」と呼びます。
我が諏訪流では「巣回り」から「網掛」になって日の浅いものが素直で振舞いも良く最上とされてきました。
現在では巣鷹はハンドレアード(人の手によって育てられたの意)と呼びます。親から離す時期の違いにより、細かい段階が出来ることがわかっています。また、育て方や愛情の注ぎ方(要はどれだけ手を掛けたかですが・・・)によっても出来上がる鳥が変わってきますので、数限りない段階が出来ます。孵化後10日目位までに人間の手で育て始めると、人間に刷り込まれやすく飼育者・訓練者を親だと思って育ちます。こう言った個体をヒューマンインプリント、インプリント、単にプリントと呼び、人間を繁殖の相手に選びます。また、兄弟や近い日齢同士の同種・異種の鳥の組み合わせでのグループで育てるクリシュレアードと言う方法も有ります。販売されるインプリント個体は概ねこの方法です。
この場合、オスは同種の鳥にメスは人間にプリントが入りやすい傾向があります。10日目以降から育てられ場合も1日の違いで大きな違いが現れることも多く、ロシア産のオオタカの巣鷹は人間にも同種の鳥にもプリントされていないような半プリントやノープリントっぽい個体が多く存在します。人間に刷り込まれた個体は同種に対し発情しませんので、人工授精でなければ繁殖しない場合が有ります(各鷹匠・ブリーダーはいろんな方法を試行錯誤しながら繁殖を行っています)。
これに対して、親鳥が育てた個体をペアレントレアードと言います。飼育下での繁殖個体を「小屋育ち」などと呼ぶことも有りますが、親が育てたものでも広い空間(幾ら大きい小屋でも自然の環境に比べれば狭いと言えます)を飛ぶ経験は出来ませんので、いわゆる網掛の鳥の飛行技術を持つようにはなりません。
また、同じペアレントレアードでもインプリントの片親もしくは、クリシュレアード両親または片親と人間の組み合わせでレアリング(プリントを含む)を行うダブルインプリントも存在します。これは親に当たる同種の鳥と人間の両方に性的インプリントが起こります。クリシュレアード同様、オスは同種の鳥にメスは人間にプリントが入りやすい傾向があります。ですから、中途半端になってしまったりすることもあり、かなりの技術が必要です。 |
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Q15. |
フクロウはフリーフライトさせられるの? |
A15. |
フクロウ類もワシタカ・ハヤブサ類同様フリーフライトさせることが可能です。動きの活発なタイプの種は飛ばしやすく、待ち伏せによる狩りを行う・活発でない種は飛ばしにくい傾向にあります。また、プリントの鳥は扱いやすいのですが、ペアレントレアードの鳥は扱い難く、鳥の負担が大きくなるので初心者が挑戦するのは止めるべきです。
フリーフライトに向く種の例(いずれもインプリント個体)
メンフクロウ・アカアシモリフクロウ・ベンガルワシミミズク等
フリーフライトに向かない種の例(インプリント・ペアレントレアードともに)
オオコノハズク類・モリフクロウ等
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